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歯科医師の方のCAD/CAMインレーを治療。

執筆者の写真: 三木雄斗三木雄斗

こんにちは。

しばらく更新できていませんでした。

予定ではいくつか書いておくつもりだったんですが・・・

講演をいくつか終わらせたと思ったら骨折してしまいまして、非常にドタバタしておりました。

現在も当然ですが骨折は治っておらず、移動に大きな制限がかかっています。

キャスター付きの椅子で院内を爆走していますが当たらないように注意はしておりますのでご安心ください。



さて、ここ最近遠方からの初診の方や歯科医療従事者からの問い合わせが非常に増えております。

また初診数増加に伴い、急患対応も多くなってまいりましたので、再度ご案内させていただきます。


【当院での初診の取り扱いについて】

当院は現在、予約の患者さんで2~3週間先まで比較的埋まってきている状況になっております。(土曜の定期管理の予約はすでに年内は終了しました。)

急患の場合は、可能な限りお待ちいただかないよう予約の患者さんの治療内容等を考慮し、日時を指定させていただいております。

従って、どうしても「この曜日のこの時間で」などの希望される日時が限定的な場合は通常の予約をお願いしております。

皆様お仕事や私生活がお忙しい中、2~3週間お待ちいただいた上で予約を取っていただいております。

無理に初診の方の希望に対応することで予約の患者様の治療に影響を及ぼすことは、当院が目標としている「公平公正な医療の提供」には反してしまうと考えております。


痛みがあるなどの急を要する場合は、通常の予約枠ではないため希望の時間のご案内ができかねることを予めご了承ください。


ただし、歯科医師の方はある程度の診断を自分でも問題なく行えるでしょうし、口腔内写真やレントゲン写真を事前に送っていただけるのであれば、当日に処置を行うことも可能となっております。


そのため歯科医師の方はご予約の際には問い合わせフォームよりお問い合わせていただけると比較的スムーズに進むかも知れません。



さて、本日の症例写真はダイレクトボンディングについてです。

今回は流山で勤務されている歯科医師の方ですね。

前回も書きましたが保険導入されたCAD/CAMインレーを治したのですが…ここ最近CAD/CAMインレーのやり直しが非常に多いです。

まだ導入されてからちょっとしか経っていないのですが…

当初から一部の歯科医師からは危険性が危惧されていましたが随分表面化してきた印象を受けますね。

少なくとも私はなるべく受けたくない治療の一つです…。



では、医療法(医療広告ガイドライン)の兼ね合いで毎回書いている内容をまた今回も記載したいと思います。


ダイレクトボンディングのメリットは

・基本的には歯を最も多く残すことが出来る治療法である。

・もし一部欠けたりしても、そこだけ治療しなおすことが出来る。

・歯よりも少し柔らかい(反対側の歯が割れたりはしない)。

・金属を使用しないため、金属アレルギーは生じない。


です。


逆にデメリットとしては、

・材質的に経年劣化を起こしてくるので、後々磨き残しが溜まりやすくなる。

・強度が弱いため、割れたり欠けたりすることがある。

・保険が使えない為、高額(当院では税込5万円です)。


材質的なデメリットは非常に大きいのですが、それを考えても患者さんにお勧めできるメリットは、被せ物になるのを、5年でも10年でも先に伸ばすことが出来るという点です。


1回治療したところは必ずいつか駄目になりますが、その時に歯が残っていれば、ひょっとするとまたダイレクトボンディングで対処できるかもしれませんからね。


私は良く「歯の治療は回数券だ」と患者さんにお伝えしています。


20枚綴りの回数券を治療の度に消費していくとします。

ダイレクトボンディングは1~2枚程度しか消費しない治療法ですが、部分的な金属の詰め物は一気に3~5枚くらい消費するようなイメージで、被せ物についてはは5~10枚消費するようなイメージです。

(先生によってはインレーの段階で10枚くらい一気に行くかもしれません・・・。)


例えばダイレクトボンディングが1回の治療で5年持ったとして…クラウンと同様の5枚消費するには25年かかります。

逆にクラウンを25年以上持たせることが出来るのなら良いのかもしれませんが…それが出来る!と自信満々に答えられる歯科医師はまずいないでしょう。


もちろん先生によって考え方は違いますし、価値観も違うため患者さんがどこの医院を選び、何の材料を選ぶかは人それぞれですが…


少なくとも私が同じような状態で治療を受ける際には可能な限りはダイレクトボンディングで治療してもらいたいですね。

で、ダイレクトボンディングでは無理というサイズになってきたら、今度は被せ物(クラウン)に移行するという流れを希望すると思ってます。


また、治療とは削る量が増えれば増えるだけその難易度も増していきます。それに伴って、持つ期間としても短くなっていってしまいます。


だからこそ小さいサイズの虫歯の時点で、ダイレクトボンディングで治療する意義は非常に大きいんです。


当院は保険医療機関ですので、非常に小さい虫歯の場合は保険適用内の「コンポジットレジン修復」にて治療を行っていますので、もし精度や持ちに拘りがあるのであれば、最初から「ダイレクトボンディングを希望」とお伝えください。


先日来院されてから自費診療を希望された方がいらっしゃったのですが、保険と自費の治療ではその予約時間が大きく異なりますので、本数が制限されてしまい、来院回数が増えてしまうことがあります。


ですので、次回予約の際には「自費診療希望である旨を伝えておいていただければ幸いです。」


今のところはこちらからダイレクトボンディングは如何ですか?という聞き方はしていないため、隠しメニューみたいな存在になってますので、希望される方はよろしくお願いいたします。



さて。


では症例写真に移ります。


まずは術前からです。



術前
術前

2〜3年ほど前に入れたCAD/CAMインレーと呼ばれるものが入っています。

前回同様、一部が欠けていますね。

これも前回と全く一緒の物言いになりますが…

2022年に保険適用となった治療法ですが・・・正直いって・・・予後は非常に悪いです。

CAD/CAM冠と言うものもそれよりも遥かに前に保険適用となりましたが、こちらについても細菌繁殖を非常に起こしやすく、また接着が難しいため予後はそんなに良くはないです。

ただ被せ物であれば接着しなくてもその他諸々を注意することでどうにかなるのですが・・・


詰め物はそうはいかないです。

というのも詰め物というのは基本的に楔作用というものが歯に加わります。

簡単にいうと薪割りとかの時に斧を軽く刺したような状態なんですね。

噛み続けると長期的に見た際に歯を破折させるような亀裂が生じ割れてしまう可能性があるため、当院では行なっておりません。

というか、うちの場合コンポジットレジンにて対応できるため、CAD/CAMインレーを選ぶ理由がないってだけなんですけどね・・・。


まぁともかく、CAD/CAMインレーの場合はまたその物性からもある程度の厚みを確保する必要があるため、その適性厚みの確保ができない場合は上記のようにインレー自体が割れたりします。


ので、CAD/CAMインレーをやるのであれば自費になりますがセラミックインレーの方がいいと思います。

個人的にはそれらよりも保険適用のコンポジットレジンや自費のダイレクトボンディングの方が30年後の口腔内を考えたときは有利だと思いますけどね。


さて、古い詰め物を除去したのがこちらになります。


旧修復物除去時
旧修復物除去時

広範囲にうっすらと虫歯になってしまっています。

歯の境目には全くむし歯はなく、内部にむし歯があるので、右については取り残しと考えられます。

左側のむし歯については境目あたりにもむし歯があるため、接着不良が一番怪しいです。



虫歯を取り切ったのがこちらになります。


むし歯除去時
むし歯除去時

歯茎よりも深いところまでむし歯になっていたのもありますが、それ以上に適合自体が悪かったのか歯茎に炎症があり、出血していますね。

そこ以外をみてもらうとわかりますが、この方は歯ブラシは非常に上手で歯肉にほぼ炎症は存在していません。

にも関わらずそこに炎症が出てしまっているのはやはりそういうことだと思われます。



今回は歯茎よりも深い位置にむし歯がありましたが…

深さとしてはそこまで深くはなかったので、自費ですしラバーダム防湿を行いました。



ラバーダム後エッチングを行っているところ
ラバーダム後エッチングを行っているところ

今回は結構細かく写真を撮らせていただいたので、いつもよりも少し解説の量が増えます。

上の写真はエッチングと言って、歯の表面のエナメル質とコンポジットレジンの接着力を上げるための処置です。

エナメル質が塑像になるので不要なところに着くとあまりよくありません。

そのため、隣の歯に付着しないように、テフロンテープというもので保護しています。


その後の接着剤を塗る工程に関しても隣の歯にそれが付着すると歯とのあたりが弱くなりやすいので、このような感じで保護していくといいです。


が、これはちょっと時間がかかる処置ですので、やはり保険では省かれる工程の一つですね。




続いて歯の処理が終わったらライニングを行っていきます。


ラバーダム防湿後、ライニングを行ったところ
ラバーダム防湿後、ライニングを行ったところ

ライニングとは歯の象牙質部分に0.5mm以下の厚みで一層フロアブルレジン(液状のレジン)を流して硬化させる工程です。

これを行うことで、それ以降で発生し、治療を失敗させる要因となる重合収縮応力を干渉したり、象牙質と接着剤の硬化を完全に硬化させたりできるので、メリットが大きい工程です。

ここに関しては私は保険でも行います。


そして内部を積層充填と言って複数回に分けて内部を詰めていきます。





次は左側の歯の後ろの歯との間を詰めていきます。



隣接面を充填したところ
隣接面を充填したところ

これを行うことで、右側の歯と左側の歯どちらも1級窩洞と言って、噛む面だけが残った状態になります。


これであとはシンプルなので、2本まとめて噛む面を詰めていきます。



詰め終わったのがこちらです。


詰め終わった直後、色々なところにバリが残ってます。
詰め終わった直後、色々なところにバリが残ってます。

詰め終わったので、このあとラバーダムを外し、形態修正・咬合調整を行ったのち、研磨を行います。

噛み合わせの当たる部分の大部分はしっかりと温存できていますので、こういうケースではダイレクトは非常に持つイメージですね。


幸いなことに全周エナメル質も温存できています。

象牙質とエナメル質ではエナメル質の方が圧倒的に接着に有利ですので、この部分を残せたかどうかで予後は大きく変わります。

なので歯を削る時にもそれをしっかりと残した形づくりができるかどうかは非常に重要になってきます。



そして咬合調整・研磨が終わった最終的な状況がこちらです。



形態修正・研磨後
形態修正・研磨後

硬化後に重合収縮の影響か隣の歯とのあたりが弱くなってしまいました。

こうなると食べかすが挟まったりすることでまた歯肉に炎症が起こってしまいます。

すでに隣の歯との間を詰めてから5分以上経過してしまっているため、このまま処置しようとしてもくっつきません。

なので、表層を一層だけ削って、再度処理からやり直し歯の間のみをうっすら一層埋めました。

これで適切な当たりを再現できたので、終了です。





術前術後の写真がこちらです。


術前術後
術前術後


遠方から長時間の治療、お疲れ様でした!

なるべく長く使えるといいですね!

定期検診でしっかりと研磨することでツヤや汚れのつきにくさをキープすることができますので、ぜひしっかりと定期検診にお越しください!


また歯科医師の方ですからご存知だとは思いますが、TCHをはじめとした力のコントロールに不備があるとありとあらゆる治療がもたなくなりますので、その点もご注意くださいね!

 
 
 

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