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執筆者の写真三木雄斗

Q&A ~麻酔をしても痛いのはなぜ?~

こんにちは。

いつもより手洗い嗽を気を付けて行っていたおかげか・・・ここしばらく全く体調を崩していません。

やはり手洗い嗽が何よりも良い予防法という事ですね。

ちなみに、うがいについては、予防の場合はイソジンなどを使用するのではなく普通の水で良いそうです。


内科医の先生に伺って「へぇー!」っと驚いたので書いてみました。

ちなみに、既に喉が痛いなど・・・感染が起こっている場合はイソジンで良いようですよ。



さて、今日は久々にQ&Aです。

基本的に虫歯の治療を行う際に痛み無く虫歯を取りきる為には、麻酔が必須になります。

今まで治療を受けていて、麻酔を行ったにも関わらず治療時に痛みが出たことありませんか?


今日は何故「麻酔が効きづらい」という状態になってしまうのかを書いていきたいと思います。

 注)仕上がったのを見てみるとものすごく文章が長いです。説明下手で上手く纏められずすみません。



まずよく患者さんから言われることがあるのが

「麻酔が効きづらい体質です」

と言われることがありますが・・・

患者さんの体質によって麻酔の効果が変ってくることはありません。


ではなぜ麻酔が効かない現象が起こってくるかというと・・・大体は以下のどれかに当てはまっていることが多いです。


①歯や歯肉の周囲に強い炎症がある(膿が溜まっている部位など)

②骨が固く麻酔の注射が浸透しにくい部位(下の奥歯など)

③麻酔が効く前に処置に入ってしまい、痛みを生じさせてしまった(麻酔注入後2分以内に処置に入った場合など)

④また上記以外にも緊張が強い場合も痛みに対し過敏となる為、麻酔の効果が出づらい場合もあります。


それぞれについて詳しく書いていくと教科書みたいになってしまうので省かせて頂きますが・・・

基本的な対処方法は以下のようになっています。


①効かせたい部位に炎症がある場合について:

炎症を抗生剤や切開などで抑えた上で、投薬から1週間以降開けて炎症がある程度落ち着いてから麻酔を行います。

痛みが出てから急いで歯科医院に駆け込んでも、その日のうちに処置に入ってもらえないのはここら辺も関係しています。

麻酔が効かないばかりか、下手をすると炎症の激化が起こってしまい、場合によっては入院する羽目になってしまう事もあります。入院のタイミングを逃すことで最悪の場合亡くなってしまうという危険性もありますね。

なので、最近はほとんどの歯科医院で初診時に処置には入らないことが多いですね。

昔は痛かったら歯医者さんに行って神経抜いたり、歯を抜いたりしていたと思いますが・・・

まぁもうそんな時代じゃないってことですね。


②骨が固く、麻酔が浸透しづらい部位について:

基本的に歯科で使用されている麻酔方法は「浸潤麻酔」と呼ばれるものになります。

これは効かせたい部位辺りに麻酔薬を注入して、それを骨の中の神経の部分に染み込ませていくことで麻酔を効かせる手法になります。

下の大きい奥歯については、歯を支えている骨が分厚い上に密度も高い為、注入した麻酔薬がなかなか骨を超えて根の先に到達しません。

だからこそ下の奥歯の方には麻酔が効きづらくなってしまいます。

とはいえ、麻酔が効かなければ治療に入れません。

なので、通常の浸潤麻酔ではなく、歯と骨の間にある薄い膜に直接麻酔を行う「歯根膜内麻酔」や、神経の大元部分に麻酔を効かせる「下顎孔伝達麻酔」などを用いて麻酔を効かせていきます。



③麻酔が効く前に処置に入った場合について:

これ、実は結構ありがちです。

基本的に麻酔の効く時間をある程度予測して予約を押さえているのですが・・・

(感覚的には大体上顎で1~2分、下顎で2~3分といった所です。)

予想外に骨が厚い方等の場合は、上記の時間で効ききっていないことがあります。

そういう時に歯を削って、痛みを生じてしまった場合、歯の神経が一時的に過敏になってしまいます。

中学校辺りの理科で習ったかと思いますが・・・人間の体の中にある「神経」には全か無かの法則というものがあります。

ある一定のライン(閾値)を超えた場合は神経に電気信号が流れ、それを超えない弱い刺激の場合は神経に電気信号が流れないというもの・・・だったかと思います(あやふや)

歯の神経が過敏になる状態というのは、この閾値が下がってしまっている状態(低閾値)を表します。

刺激を感じるラインが低くなってしまっているので、ちょっとした刺激でも神経が反応してしまうという事ですね。

(ちなみに、こちらの記事でも書きましたが・・・神経には痛覚以外の感覚は存在していないので痛いか痛くないかしかありません。)

そのため、一度処置中に痛みが生じてしまった場合、いくらその後で麻酔を追加したとしても通常よりも弱い刺激で反応してしまうため、痛みを感じてしまいやすいんです。

なので、一度処置に入るのが早かったことで神経が低閾値になってしまった場合は、24時間以上空けて、神経を正常な閾値の状態に戻した後で再度処置に入る必要があります。

むやみやたらと麻酔を追加して処置に入ったところで、苦痛が増えるだけですからね。



④緊張が強く、痛みに対して過敏になってしまっている場合について:

これは歯科恐怖症の方などが当たります。ちなみに、私も実はこれです・・・。

そもそも痛みというものは本来主観的なものです。

例えば骨折などの外傷の場合もそうですね。ある人では激痛に感じていても、別の人はそうでも無いという事も多々あります。

本来痛みを感じるはずがない「歯に物が触れているだけ」の状態でも「痛いかもしれない」と強く緊張してしまう事で本当に痛みがあると錯覚してしまうという事があります。

この場合はどれだけ麻酔が効いて痛みが無いはずの状態であっても、精神的なものが原因で痛みを感じてしまうので、普通の麻酔では対応が出来ません。

こういう時に通常の麻酔と併用して行うのが「笑気麻酔」「静脈内鎮静法」「全身麻酔」などです。これらは特殊な設備と専門的な知識が必要なので、一般開業医では対応できないことも多々あります。

なので、私も様々な麻酔手技を駆使しても尚、痛みを感じてしまう方についてはこの辺には上記設備を有している医院が無い為、インプラントと同様に日大松戸歯学部付属病院に紹介させて頂こうと思っています。

今の所、麻酔が効かずに処置に入れなかった方は居ないので、あくまで予定ですが。



これらが麻酔を確実に効かせるための項目です。

ここら辺の知識が無い先生が処置に入る事で、「麻酔をしても痛い」という状況に陥ってしまう事があります。

ちなみに、私も③の麻酔が効く前に処置に入ってしまうパターンは月1くらいでやってしまいます。


麻酔の技術と知識は歯科医師にとって必要不可欠なものと捉えていますので、今後もこれらの研鑽は続けていきたいと思います。

それでは、長文になってしまいましたが、今回のQ&Aはこの辺で終了したいと思います。


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