こんにちは。
今日はテレビや雑誌などでも耳にする機会の多い「歯周病」について書いていきたいと思います。
とはいえ、1回で書ききれるものではないので、そもそもの病態というか、その進み方を書いていきます。
ちなみに、進み方だけでも、すっごい長くなってしまったので、2回に分けることにしました。
今回は歯肉炎から歯周炎に移行するまでを書いておいたので、暇な時に見てください(笑)
まずは正常な状態を知りましょう。
右側の図で説明していきます。
(左のような歯並びの部分を真ん中で切ってみているような・・・要は断面図ですね。)
画面中央に①歯があって、歯の周りには歯を支えている③歯槽骨と言われる骨が存在しています。
そして、その上に②歯肉(歯茎)が存在しています。
歯茎が2色に分かれているのが分かりますかね?
白っぽい部分は表層に出ており、角化している部分。(角化歯肉)
赤い部分は内面に隠れており、角化していない部分。(非角化歯肉)
つまり大雑把に言うと、「固い歯茎」と「柔らかい歯茎」の2層で出来ているという事です。
(細かく分けると本当はもうちょっと細分化されますが、そこはちょっと割愛させて頂きます。)
そして図を良く見て貰うとわかりますが、角化歯肉は目に見えている部分だけではなく、頂上付近で歯の方に折り返されています。
この部分は歯にはくっついていない状態で、④歯肉溝と呼ばれる構造になります。
その下は歯に直接歯肉が付着している状態になります。
これが歯周組織の簡単な構造となります。
次は歯周病がどういう感じで進むかを書いていきます。
①プラークの付着
食事をすると、食べたものの栄養素からプラークと言われる細菌の集合体が出来てきます。
前回のQ&A~今まで痛くなかった歯を治療したことで痛みが出てしまうのか~でも記載しましたが、
細菌は『グルカン』という防御膜のようなものを作成し、その中に潜みます。
これが図の中に書いてあるプラーク(バイオフィルム)です。
プラークは構造的に「排水溝のぬめりや汚れ」と非常に近いです。
排水溝であればパイプユニッシュなどの強力な薬剤を使用することで化学的清掃のみである程度除去することは出来ますが・・・口の中にはそんな強力な薬剤入れられませんので、機械的清掃以外で除去することはほとんどできません。
(機械的清掃とは、歯ブラシ・フロス・歯間ブラシのような要は物理的に落とす方法の事です。)
ウォータピック・エアーフロス・モンダミンやリステリンのようなものだけで汚れを落としきれないのはそのためです。
洗車でイメージしてもらっても良いかもしれませんね。
高圧洗浄機で落とそうとしても、表層の軽い汚れしか落ちませんが、タオルやブラシで洗ったほうが圧倒的に早く楽に落とせますよね。
口の中の汚れも同様で、しっかりとブラシなどを当てて落とす必要があるんです。
②免疫による抵抗
そして、プラークは細菌の為、体に害を与えようとしてきます。
それに抵抗するのが体の中の至る所に居る「免疫」達です。
この段階でプラークが除去されれば、大丈夫なのですが・・・。
③歯肉に炎症が発生
プラークが除去しきれらずに長期間(2~3日)残ってしまっていた場合は歯肉に炎症が起こってきます。
なぜかというと、本来居るだけの免疫だけでは間に合わなくなってくるんです。
なので、細菌に対抗するために体は免疫をこの場所に集めようとするのですが・・・
免疫とは血の流れと一緒じゃなければやって来れません。
そのため、プラークが集まっている場所に多くの免疫を集めたい体としては、この場所に炎症を起こして、免疫を集めようとしてきます。
歯茎に炎症が起こると、歯肉が膨れます。結果として歯肉溝が深くなったのが分かりますかね?
この状態を歯肉に炎症があるという事で「歯肉炎」と言います。
④歯周ポケットの形成
歯肉炎の状態が長く続くと、歯周組織が弱くなってきます。
一番最初の歯周組織の構造の時に、歯に付着している歯肉があるという事を書きましたが・・・
この部分は接着剤のように強くくっついているのではなく、無数の繊維によって歯にくっついています。
炎症が長期間起こってくると、この部分がもろくなり、図のように繊維が断裂してしまいます。
すると・・・
今度は更に溝が深くなり・・・歯肉溝が歯周ポケットと呼ばれる状態になります。
こうなってくるともう歯肉炎ではなく、歯周病となります。
はい。ようやくここで歯周病の入り口に立つことが出来ました。
無茶苦茶長いですね・・・。
ちょっと書くのも大変になってきたので、一旦止めさせてもらって、次回更新時に続きを載せていきたいと思います(;^_^A