こんにちは。
とうとう消費税が10%に上がりますね。
それに伴い、保険診療の治療費もまた変更されるようですので、ご注意ください。
ほんの少し。気持ち程度増額してます。(全国一律です。)
さて、本日は一昔前に一世を風靡?した「シールドレストレーション」という考え方についてです。
これは簡単に言えば、
「完全に封鎖すれば虫歯にとっての栄養素が無い為、多少虫歯を取り残していても、虫歯は進まない」
という考え方で、80年代に提唱されていたものです。
ですが、実はこの考え方については私は割と否定的です。
というのも、
まずそもそも完全な封鎖というものが困難。
と考えているためです。
治したところから必ずまたいつか虫歯になるという事を考えると、それで虫歯が永久的に進行しないと考えるのは無理があるのではないか?
と思っているからです。
もちろん、「深い所の虫歯を一層残して、神経の方で壁を作られるのを待ち、半年~1年後くらいに再治療に入る」というAIPC法は全然アリだとは思いますよ。
これはあくまでも暫間的な処置として行うものですからね。
ただ、個人的には虫歯を若干残してその上にダイレクトボンディングやセラミックによる最終補綴物を入れたとしても、意味がないと思っています。
例えば、この方、
2~3年くらい前に虫歯の治療として保険内でのコンポジットレジン修復を麻酔なしで行ったそうです。
その時の主治医からは「虫歯は残ってるけど、蓋したら進まないから。」とだけ言われたそうです。
そしてその後、しばらくしてから冷たいもので染みるようになり、物を噛んだ時に違和感も出始めたとのことでした。
次第に感覚が悪化してきたとのことで、来院されました。
診た感じとしては特に問題なく、比較的真新しい詰め物が普通に詰められている状態でした。
レントゲン像としてはこんな感じです。
うん。確かに虫歯が残っている。
私の知っているシールドレストレーションとはほとんどの虫歯を取り除くんですが・・・
思った以上にダイナミックに残っていますね。
私はシールドレストレーションを支持していない立場なので、虫歯は麻酔をした上で全て完全に取り除く旨を説明し、同意を得たので、削っていきました。
レジンを除去しきった状態ですが・・・
あからさまに穴が開いています。
完全に虫歯を取りきると・・・
ものすごく大きい状態でした。
良くも悪くも変に削られておらず、歯を非常に多く残すことが出来たため、そのまま保険内でコンポジットレジンで治療させてもらいました。
術後が、こちらです。
ダイレクトボンディングの技術の向上により、コンポジットレジン充填でもかみ合わせの調整が殆ど不要になってきました。
まぁ、ステインとかは入れていないので、歯科医師や歯科衛生士が診れば直ぐにどこを治療したのかわかっちゃいますけどね(;'∀')
恒例の術前術後がこちらです。
術後、染みも無くなり、噛んだ時の違和感も消えたそうで、ホッとしました。
歯科には多くの考え方とそれに伴った治療方法や治療の手技が存在しており、それこそ先生の数だけ治療のやり方が存在しています。
今後の人生を左右する選択で言えば、歯を「抜くか」「抜かないか」も先生によって異なってきます。
坂寄歯科医院に来てから、私が残せると判断して神経の治療を開始した歯が、うちの休診中に急に痛みが出て抜歯されてしまった・・・なんてこともありましたからね・・・。
かかる歯科医院で今後の人生が大きく変わってくると言っても過言ではないと思います。