明けましておめでとうございます。
(旧藤代地域全域にはご挨拶の年賀状を送らせていただきましたので、少し文章など重複するところがあるかもしれませんが、ご了承ください。)
昨年は坂寄歯科医院は、予約制への変更や院内改装、キッズスペースの増設、CT導入と非常に多くの変化があった一年でした。
今年も良い変化を多く起こせるようにスタッフ一同努力して参りますので、よろしくお願いいたします。
では今回は神経の治療の続きを書かせていただきます。
こちらの記事でも書かせていただきましたが、根管治療で非常に大事な要素である仮の詰め物(仮封剤)は「最低4mmの厚さが必要」です。
ですが、その4mmの厚みを確保できないケースというものが多く存在します。
例えば、
①虫歯で多くの歯が無くなってしまっており、歯がほとんどない状態
②元々太いコア(土台)などが入れられており、それが脱離したため、根っこしか残っていない場合
などですね。
こういったケースでは仮封剤の厚みを確保できない為、
仮封剤の厚みをしっかりと確保し、神経の治療中に唾液が根管内に入るのを防ぐ目的で「隔壁」を作成する必要があります。
つまり、隔壁とは、歯の全周に作る強固な壁です。
(漫画で例を挙げると進撃の巨人の壁みたいなものです(笑))
今回はその隔壁について少し実際の画像を交えて説明させていただきます。
ちなみに、こちらが術前のレントゲンです。
保険内の白い詰め物のコンポジットレジンを行っているようですが、全く合っておらず、中で虫歯が大きくなっています。(紫の〇の所)
そしてそれが神経に達して、根の先に膿が溜まっています。(赤の丸の所)
治療の流れとしては、
【1日目】 神経の治療開始前に虫歯を全て取り除き、仮封剤が外れないようにし、厚みを確保するためにコンポジットレジンで隔壁を作る またこの状態でも稀に神経が一部生き残っている場合があり、そこを触れると激痛が走ってしまいますので、最初に必ず麻酔をします。(痛みが出てから麻酔をしても痛みに対する閾値が下がってしまっているので結局効かないことが多いので。)
↓
【2日目】 根管は比較的ストレートなタイプでしたが根の断面が瓢箪のような形になっていたため、全体を綺麗にするのに本来は大きく苦戦するところですが、特殊な形状の器具を用いることで難なく根管内全体を洗浄することが出来ました。 同時に根管充填(根管に最終的な薬を詰める事)を行いやすくするために根管の先端の形を整え、軽く洗浄したらこの日は終了。
↓
【3日目】 根管内の細菌数を減らす為に、根管内を次亜塩素酸ナトリウム水溶液→エデト酸二ナトリウム水溶液を1分作用→次亜塩素酸ナトリウム水溶液の順に根管内を超音波でしっかりと洗浄。
この洗浄方法を行う事で、根管内の更に細かい部分まで洗浄を行うことできます。
ただ、これだけでしっかりと治せるというわけではありませんので、その他、いくつかの洗浄方法を併用しつつ消毒を行います。
↓
【4日目】
症状もなく、根管内の状態も良好なことを確認し、根管充填(無くなった神経の代わりに、ゴムのような材料を隙間なく詰めます)を行いました。
で、こちらが術後(根管充填後)のレントゲンです。
歯の周りにコンポジットレジンで隔壁を作成していますが、歯との間に段差が無いのが分かるかと思います。(紫の丸の所)
根の先までお薬がしっかりと綺麗に詰まっています。(赤い丸の所)
(根の先から飛び出している材料はシーラーという接着剤ですが、少量であれば吸収されるので問題が無いと言われています。)
術前術後の比較です
根の先の膿のサイズに劇的な変化はありません。
というのも、この治療の開始から終了までが1ヵ月半という短さの為です。
根の先に元通り骨が出来上がってくるまでには半年から数年の期間が掛かってしまいます。
ですので、ほんとうに治ったかどうかはそれだけの期間が開いてからじゃないと分からないのです・・・。
ちなみに、こういった神経が死んでしまい病変ができたケースの治療の成功率(骨が再生し、元通りになる)は大体約7割~8割と言われています。
少しでも成功率を上げるためには歯内療法に力を入れている歯科医院を探すというのが大事になってきますねヽ(゚∀゚)ノ パッ☆