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執筆者の写真三木雄斗

レジンでは無理ですって!

更新日:2020年2月21日

こんにちは。


最近ホームページを見て、若干遠方から通院される方が増えてきました。

増えてきているのは稲敷・つくばなどの当院から車で30~40分圏内の方です。


そのうちの一人のある方からこんな意見を頂きました。

・歯医者さんのホームページでブログとかやってる所はよく見るけど、1年も経たずに更新しなくなったりしてる。

・歯とは全く関係のないことを書いたりしてる。

こういう所の歯医者は選ばないようにしている。

特に更新をしなくなるってことは物事の持続が出来ないという事。

それはつまり、勉強し続けたり、技術を伸ばし続けることが出来ないという事だと思っている。


・・・とのことでした。

私は現在5の倍数の日にブログを更新するという自分ルールの下、更新して行っていますが・・・

この意見を伺って戦々恐々としました(笑)


今後もしっかりと更新を続けていきたいと思います。



さて、今日は、私も得意としている治療法のレジン充填における適用範囲についてです。


こちらの記事でも書きましたが・・・

歯科で多く使用されているパラジウム合金の価格が年々上昇し・・・それに対する保険診療の診療報酬(要は治療費ですね)の変化も特にない状況だったため、保険で金属を入れれば入れるほど医院の経営が傾くようになってきました。


それに対してレジンを代表とする所謂「白い詰め物」は1日で治療が完了し、見た目的にも白くなり、保険適用の為治療費も非常に安価です。

そのため、安く早く綺麗に治療できる非常に良い治療なのですが・・・


レジン充填もメリットばかりがあるわけではありません。


まず、長期安定性は優れていません。(劣化が早い)

また治療の仕方によってその成功率は大きく変わります。

上手い人がやれば非常に長持ちさせることも出来ますが、レジン充填に対する理解が低い方が治療を行えば、下手をすると半年も持ちません。

また、所詮プラスチックの為、金属に比べると圧倒的に強度が弱いです。


ですので、

小さい虫歯はレジン充填・大きくて力が加わるような虫歯は金属で治療。

というのが保険で出来る最も確実で長期予後を期待できる治療方法でした。


所が上記した通り、診療報酬は横ばい状態にも関わらず、金属という材料費が高騰を続けた結果、保険診療を今まで通りの材料で行おうとすると経営が成り立たず、倒産の危機となってしまっている状況です。


そのため、本来はレジンの適用範囲外の治療を無理やりレジンで行っているケースを度々目撃します。


例えば、この方・・・

もうほとんど歯が残っていない状況にも関わらず、無理やりレジンで治療をされています。

(紫の丸の部分)

当然強度が足らないわけですから、複数箇所に亀裂が入っており、至る所が虫歯になってしまっています。

通常はここまでの状況になる前に痛みが出るのですが・・・

この方は神経の治療をされており、既に神経が無い状態になってしまっています。

そのため、防御反応である痛みが生じなかったわけですね。


ちなみに、この神経の治療も、根の先の方に器具が折れて入り込んでしまっています。(赤い丸の部分)

神経の治療の際に使う細い針金のような器具(ファイルやリーマー)があります。

これらは細い金属を使用しているため、何回も使うと金属疲労を起こし、このように折れてしまう事があります。

これ自体はただの偶発症の1つですし、正直そこまで珍しいわけでもありません。

私も年に数回は根の中に器具が折れてしまうという事はあります。

ただ、私の場合は折れたものはほとんどは自分で除去可能なのでそんなに問題にはなりません。


そして、器具が折れていても、根の先に膿などが溜まっていなければ特に問題は無いのですが・・・

今回のケースでは根の先にそこそこなサイズの膿が溜まっている様子(青い丸の部分)


このファイルなどは通常滅菌されたものを使用しているため、折れたところでこれが原因で感染を起こすことはありません。


ただし、今回のように神経の治療後に不適切な材料で治療されてしまった場合は、根の中に虫歯が入り込むことで再感染を起こします。

そしてその後ファイルがあると綺麗に出来ないところにまで感染が起こってしまうと、除去しないことには綺麗に治せないという事もあります。


そして3回くらいの治療の後、根の中の状態としては問題が無くなったため、お薬を詰めました。

無事に折れたファイルを除去することができ、根の先まで綺麗に到達することが出来ました。


こちらの記事でも書きましたが、根の先の溶けた骨は数年単位でじりじりと膿に溶かされて行っていますので、そんな直ぐに骨が出来てこないという事も良くあります。

今回はトータルで2ヶ月掛かっていますが、根管充填時点では根の先の骨に明らかな治癒傾向は認められませんでした。



そして、その後、こちらの方は保険診療での治療のやり直しに嫌気がさしていたとのことで、オールセラミックによる治療を希望されました。


全顎的な治療が完了し、現在は定期検診で当院で経過を診させてもらっていますが・・・

特に大きな問題もなく、良好な状態をキープ出来ています。


ふと定期検診で来院された日がちょうど根管充填から2年経過したタイミングだったため、折角なので、経過のレントゲンを撮らせて頂きました。

それがこちらです。

根の先には骨がしっかりと出来てくれています。(青い丸の部分)

膿があった影も完全に消失することが出来ましたね。


また入れていたセラミックの適合も非常に良好です。(紫の丸の部分)

段差も一切なく、非常に適合良く入っているのが分かるかと思います。



術前からの比較がこちらです。


分かりやすい様に角度を変えているんですが、若干トリミングに難があるのは許してください。


こうやって比較でみると根の先の膿があった所が消失しているのが分かりやすいかと思います。


私の神経の治療における師匠が言っていましたが、

神経の治療は家で例えると基礎になる部分。ここがしっかりと出来ていないと意味はない。

ただし、基礎だけ出来ていたとしても家自体にも拘らないと、長年暮らすことは出来ない。


本来歯の内面に隠れている神経には細菌などは一切いない状態になります。

そこに虫歯等の細菌感染により、細菌繁殖が起こって根の先に膿が溜まってくるわけなんですが・・・

神経の治療をどれだけ丁寧に行ったとしても、その後に被せるクラウンやインレーなどの適合が悪ければ、そこからまた直ぐに感染が起こってしまい、根の先に膿が溜まってしまう事が多々あります。


神経の治療後、適切な材料・適切な適合で治療することで神経の治療が成功するかどうかが大きく変わってきます。


材料を選ぶ時には必ずここら辺の事も考えて選ぶようにしてくださいね。


#保険診療,#根管治療,#自費診療,#セラミック



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